2017年1月28日土曜日

本 2冊目「常若の思想 伊勢神宮と日本人」河合真如

本 2冊目「常若の思想 伊勢神宮と日本人」河合真如

素晴らしい本でした。
わかりやすい言葉で、本質的な事が書いてありました。
こうゆう思想を盛り込んだ内容で神道を語るテキストが増えて欲しいものです。

以下はメモ

4P●永遠を求め堅守するものが滅び、祖型を保ちながら変化を促進することが永遠につながる、というパラドックスとなる。
祖型 : archtype / パラドックス : 逆説、矛盾

4P●日本人は「滅びの美学」をもつと論じられることが多いが、祈りをこめて繰り返す道理も大切にしてきたのである。
これを私は「繰り返しの美学」といい、常に若々しく清らかな世界を願いながら行動する規範の根底となるものを「常若の思想」として語ってきた。

14P●「面白い」の「面」とは、顔のことをいう。(中略) 面が白くなるとは、目の前がぱっと明るくなることを意味する。

17P●面白い世とは、(中略) 晴れ晴れと生きるための業(わざ)が大切にされる社会をいうのである。

22P●天照大神のご神体は、(中略)御鏡である。鏡は智恵や正直の表象ともいわれる。
これは象徴的な話になるが、お参りをすることは、自分の姿を目に見えぬ鏡に映すことでもある。
自分的コメント※常に自分を省みることが大切だということですね。

2-24P●かつて天照大神は歴代の天皇によって皇居のなかで祀られていた。
しかし、第十代崇神天皇の時代に、疫病が発生して国民の多くがなくなり、流民や反乱者も現れ、国が大きく混乱する。崇神天皇は、このような異変が起きるのはなぜかとお考えになり、神と人が同じ宮殿(同床宮殿)では畏れ多いという神人分離の発想によって、天照大神を大和の三輪山に近い笠縫邑(かさぬいのむら)にお遷しになった。
そこでお祀りしたところ、ひとまず国が治ったと伝えられている。
自分的コメント※ここは気になる。なぜ神様が引っ越ししなくてはいけなかったのか、人が移動すればよかったのではないか。もう少しここの部分の背景を知りたい。

25P●寄せくる波のように、永久不滅の美しい風景。山があり、川があり、海があり、野がある。美し国(うましくに)とは、風光明媚(自然の眺めが清らかで美しいこと)な美しい国であり、美しいものも豊かにとれるすばらしい土地をいう。

28P●神と自然を崇め、祭祀をつづけることで環境と食が保全され、過去と未来がつながるからである。

28P●「食」とは「人」を「良」くするものと読み取れる。古代の人にとっても食をはじめとする業は、生命と生活に関わる大切なものであった。

33P●式年遷宮が始まったのは、今から千三百年前のことである。神宮の古伝によると、天武天皇の御発案により、第一回の式年遷宮は、持統天皇四年(六九〇)に内宮で行われた。

35P●遷宮は「大神嘗祭」である。
※神嘗祭はその年にできた米(初穂)を神々にお供えする祭り。

38P●祭器具類が新調される。そこには、神と初穂によせる究極の感謝の心が込められている。

43P●式年遷宮は、神々を美しく瑞々しい神殿でお祀りしたいという古代の人々の発想から生まれたもの。そこには神と共に生き、命の永遠の連鎖を願う、究極の祈りと感謝が込められている。それは、まさに永遠を象徴する祭である。
 二十年に一度繰り返すことで、古と今と未来が永遠に繋がる式年遷宮。そこには常に若々しく美しく生き、その精神を子孫へ続けたいと願う人々の想いも重なる。これを私は「常若の思想」と表現している。
自分的コメント※この本の核となる部分ですね。

43P●常若とは、衰えることなく瑞々しいエネルギーがあふれている状態をいう。
古の精神と技術を守り伝えながら、永遠に連鎖させていくシステムをもつ神宮は、常若の聖地。

45P●文明の終焉は、森の恩恵を忘れたときであった。環境を破壊して生命を維持することはできない。森を犠牲にした文明の悲劇である。

64P●言と事は同意であった。言葉が人を動かし、成就した事柄は言葉で称えられた。

82P●杣(そま) 「山に木を植え、木を採る」という意味をもつ国字を誕生させたのは、自然と共にいきることを願う共生の想いにほかならない。

131P●学んだことは、過去と未来をむすぶ、今の大切さであった。

135P●「仕事は神様かたの賜り物」とする、日本人の労働観に根差したものと言える。

167P●樹木の芳香成分フィトンチッドは、細菌を死滅させ、心身をリラックスさせる効能をもつ。

171P●海水を煮詰めた御塩は、今日的なイオン交換膜法の食塩とは大きく異なる。
自分的コメント※ミネラルバランスの整った状態のものを食べることがやはり体にいい。

193P●私は式年遷宮を「永遠の記憶装置」と言っている。神話は民族の記憶装置である。神話に繋がる祭りは魂の浄化装置であり、神話と同様に記憶を甦らせ、また保存する装置でもある。二十年に一度の式年遷宮は、神聖なるものを大事にしてきた日本人の魂や精神性というものを発動させ、記憶するよい機会である。式年遷宮がつづく限り、日本人を日本人たらしめている価値観は、永遠に記憶され続けて行く。
言い換えれば、神に感謝し祖先に感謝して子孫の繁栄を祈りつつ、清く明るい心をもって一生懸命生きていくならば、未来が面白くならないはずがない。

195P●私たち人間には、解明できるだけでも五千人分の遺伝子が組み込まれているという。そういう数多くの先祖の思いや行動の蓄積によって今、生かされている。
 ということは、われわれがどう生きるかは、未来の人たちに大きな影響を与えることになる。それは未来の自分がどう生きるかということにも繋がる。
 このことをしっかり認識すれば、今の自分を大事にしなくてはならないし、あらゆる存在に顔向けできないような生き方はけっしてできない。

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